「戸狩×見えない宝=自分」

自分の周りは、「見えない宝でジャラジャラ」って感じ。心はリッチ。お金はないけど、自分の周りは宝物だらけなんですよ。

自分の信じる道を妥協せずに突き進む。それが、俺流。

ーーどの様なお仕事をされていますか?

農業です。6次産業化に取り組んだ農業をしています。6次産業化の特色は、自分で原料を作り、栽培をして、販売をするというところまで手掛ける事なんです。
例えば、うちでは米を作って、米粉にして、その米粉からお菓子やパンを作って販売する、という事を、夫婦でやっています。

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妻は、「ワンデーシェフ」と言って、街中の喫茶店の定休日を使って、1日だけのお店を開いています。そこで出す食材は、なるべくうちで収穫したものをお出ししています。「ワンデーシェフ」は、料理人が妻で、自分は農業の傍ら、手伝います。
だから自分が今年の原料となるものを作らないと、この先のワンデーシェフも出来ないし、お菓子も出来上がらないんです。

他にも、ジャガイモ、さつま芋や野菜を作り、料理や惣菜パンの具材などに使っています。あと、フルーツ。「雪国パッションフルーツ組合」が飯山にあって、それにも入っています。南国フルーツを飯山で作れるのか?という意外性もありますよね。でも、南の地域の端境期(はざかいき)に出荷できる飯山は、恵まれた環境と言えます。
他にも日本ミツバチの養蜂もしています。それで甘味を自給していますね。

ーーお米に野菜、フルーツに蜂蜜まで。幅広いですね!

はい。「さとうきびや砂糖大根は作れないよね、だったら、周り中に飛んでいるんだから、はちみつにしよう!」と。ただ、日本ミツバチというのは、希少なものなんですね。自然界にいる日本ミツバチをある技術で呼び寄せて、自分の作った巣箱に入ってもらうんです。なかなか出来ない事なんです。
スーパーで売っているはちみつとは全く違います。採れる量も違います。140mlの瓶で道の駅で3,500円で売っています。そういう物を、戸狩で生み出す事が出来るんですね。

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ーーそうやって丁寧に作られたもの全てが食材になるのですね。

そうなんです。その希少なはちみつを惜しげもなく米粉のシフォンケーキやクッキーなどのお菓子に入れるんです。先程話したパッションフルーツも米粉のベイクドチーズケーキなどにも入れますし、「信州味のコンクール」で最優秀賞を取った、パッションフルーツのバターサンドにも入っています。
原料の生産は私で、加工は妻、販売は二人でします。イベントに出店して、販売したり。
楽しみながら、二人三脚でやっています!

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ーー滝沢さんのこだわりを教えて下さい。

自分の仕事とライフスタイルとが近い、というのが理想です。自分のライフスタイルの根幹に「自給率の高い生活がしたい」という考えがあります。食料の自給、燃料やエネルギーの自給もしています。冬場、暖を取るための薪ストーブも、妻と一緒にレンガを組んで作った、ロケットストーブというものなんですが家の中で活躍しています。冬場の暖を取ったり、煮炊きをするための燃料ですね。今後は電気まで自給したいと考えています。

それから、wwoof(ウーフ)という新しい取り組みを始めています。
私一人で農業をしているのですが、辛いので(笑)ウーフというシステムを使って、お手伝いを世界中から募っています。海外から有機農業を体験したいという人と農業をやっている人がくっつくシステムなんですよ。今、香港出身の女の子が来ています。先日はフランスからカップルが来ていました。スイスやシンガポールからも来てくれる予定です。
日本の文化や農業に関心がある人など、色々な理由で農業を手伝いに来てくれます。ホストは寝る所と3食面倒を見る。というお金の介在しない関係性の仕組みなんですよ。面白いでしょ?すごく助かっています。田んぼの草刈りとか、やってもらっちゃったし。人を雇うよりもローコストですし、僕の知らない言葉や文化、人間と触れ合える。そう考えれば、安いものですよ。

ーーお仕事(活動)を始められたきっかけは何ですか?

2011年3月11日の東日本大震災がターニングポイントだったと思います。その次の日、長野県栄村でも大きな地震があり、甚大な被害を受けました。そういう状況の中、物流が止まり、大混乱しましたよね。私はあの日を絶対に忘れません。
それがきっかけで、”依存している社会”に疑問を持ったんですよ。「何でもお金で手に入ると思っているけど、それは違うだろう」と強く思って。それで自給率の高い生活をしたいと思って、こうしてやっているんですね。

僕が先駆者にならないと、次の人が続かないでしょ。だからこそ、「僕みたいなライフスタイルどうだい?」って見せたいんですよ。そして真似してくれよ、と思うんですね。ここに成功事例があるぞ、と。
「都市一極集中で、皆お金に頼って、お金の為に生きてる様なライフスタイルで本当に幸せなのかい?お金はないけど、心は豊かで、ハッピーだぜ!」っていう価値観を発信したい。

元々、きのこを栽培する農家を父がやっていました。それまで、僕は30歳になるまで東京で仕事をしていたんですけど、リーマンショックの影響で仕事が減り、このままでは成長できないと感じて。戸狩に戻ってきて、家業を継いだんですけど、それも面白くなくて。そんな時、東日本大震災が起きた。当時恋人だった妻との結婚も視野に入っていて、これからどうしていこうかと模索していた時期でした。
それから、半分農業、半分アルバイトをしながら、少しずつ自分の求める農業の技術を高めていったんです。

vol.2に続く

Toshie
「とんがり戸狩」編集長/キュレーター、WEBデザイナー
お酒と温泉をこよなく愛する。大学時代、成り行きで山岳部主将になって以来、体力に自信はないけど山が好き。信越トレイル走破を企む今日この頃。「何事も全力で楽しむ!」が人生のモットー。