ーーお仕事(活動)を始められたきっかけは何ですか?

元々実家が民宿をしていました。その影響で、料理の専門学校に通いました。
じいちゃんの話では、昔、戸狩温泉スキー場がなかった時代は冬の間、この辺りの人は出稼ぎに行っていたんですね。そこでスキー場を作ってお客様を呼び込み、冬の仕事を作ろうじゃないか、そういった状況の中で生まれたスキー場なんです。
また、そういった状況の中で、僕の実家も民宿を始めたそうです。でも僕が中学の時に宿を閉めたんですね。それで、また宿を再開できれば良いなぁ、なんて考えてもいたんですね。

でも、兄の影響で、兄が勤務する農業の会社に2年程勤めました。大根農家だったんですけど。高原野菜を作っていて、すっごく気持ち良いんですよ。そこの野菜が本当にみずみずしくて。真夏の暑い時期に大根を収穫するんですけど、畑の中で倒れそうになると売り物にならないような大根の皮を剥いてその場でかじって水分補給をしていました。
包丁を入れると、パリン!と大根全体が割れる位、みずみずしかったです。

ーー今後やってみたい事、挑戦してみたい事はありますか?

コンクールの後で、東洋ライスさんが「世界最高米事業」というものを立ち上げ、日本のお米を世界にアピールしようという取り組みをされています。金賞受賞米の中から、更に米を厳選して独自のブレンド技術や精米技術を用いて世界最高米を作るという計画がありまして。その世界最高米の原料米にさせて欲しいというお話を頂きました。夢のようなお話で、有り難くお受け致しました。合計6名の米が選ばれ、ブレンドされるんです。東洋ライスさんのお話では良い米同士をブレンドすると更に栄養価や甘みなどが増すという効果があるそうです。独自ブレンドをして半年寝かせて、今年の夏、これからなんですけど、世界のマーケットや、日本の料亭などと契約が決まっているそうです。
世界最高米事業に選ばれた方がもう一人いらっしゃいます。これは何かやらなければいけない、という思いが湧いてきて。
元々、賞を獲るためにお米を作っていたわけではない。元々、食べて健康になれるお米を作る事。美味しい以上のものを求めた時、家族が笑って過ごせる時間、年老いても、自分のじいちゃんみたいに、ずっと健康で、いつまで経っても畑や田んぼに出たり、外歩き回って。そういうの良いなって思っていたんで。家族から、そういう事を進めたい。家族に健康でいてもらいたいという思いから始まった米作りなんで、僕の米は。今後もそこはブレずにいきたいです。

自分が労を厭わず良い米を作る事で、家族に恩返しがしたいんですよ。健康でいてもらえる様に。

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ーー戸狩での暮らしの醍醐味はどんな事ですか?

 
取れたての作物。家の目の前に全ての食材が並んでいる、植わっている。

「天空の城ラピュタ」で、「人間は土の上から離れては生きてはいけない」という言葉があったんですけど。戸狩は土だけじゃなく、きれいな川も、空を見上げれば満天の星空も見えます。何か「地球人」て感じがするんです(笑)

市外に出て生活した事もありましたが、都会では”自分がいてもいなくても回る世の中”があった。自分自身のライフスタイルは、これではない、と思いました。戸狩では、自分にしか出来ない事があるんですよね。それを見つけた人達が戻って来ているんじゃないかと思います。そして自然と同じような人間が引き合って仲間になって。だから皆仲が良いんでしょうね。お隣さんに誘われてバーベキューをしたり。そういう事もよくありますね。

コンクリートジャングルでは出来ない、豊かな暮らし。それは自然と共に生きる、そんな暮らし。地球から、太陽からパワーをもらっている感覚。だからかな、皆凄くタフですよ(笑)
人間、個々に様々な悩みがあると思うのですが、全ての悩みの根源は「人」だと思うんですよ、僕は。戸狩にいても、勿論色々なことはありますが、そういう意味では悩みがないんですよ(笑)

作物って正直なんです。ちょうど今日田植えが終わったんですが。これから毎日、稲と会話するんですよ。「寒くないか?」「ちょっと元気がないなぁ」とかって。そういう会話がこれから10月まで続くんです。面白いことに毎日見ていると違いが分かるんですけど(笑)人間が出来ることって、全体の2割位しかないと思うんですよ。ただ、その2割で、残りの8割を生かすか殺すか決まると思うんですよね。最大限生かしてあげられれば、自ずと良い作物が出来る地域なんですよね。土地の恩恵を受けながら、米と向き合っています。

ーーお米の世界大会で優勝されましたね。おめでとうございます。

ありがとうございます。「米、食味分析鑑定コンクール国際大会」昨年で17回目のコンクールで、お米の業界のコンクールでは一番古い歴史があります。昨年度の出品数は5119検体。「お米のオリンピック」と言われていて、海外からも出品されます。

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そのコンクールではまず、1次審査、2次審査があります。1次審査では食味計という機械を用いて、お米の成分を測定して、スコアを出します。スコア合計85点以上が2次審査に進みます。
2次審査はみどけいという特殊な機械を用いて検査します。実際に炊飯し、成分を調べ、またスコアを出します。その合計点で毎年、およそ上位40人程度が最終審査に進む事ができます。

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昨年度は石川県の小松市で開催されたんですが、審査会場に最終審査に残った40名がノミネートされるんです。ノミネートされただけでも十分栄誉なことなんです。1%以下しか残れないわけですから。審査員の方々が、今年はどれも優劣付け難いと言う中、最高の金賞を頂くことができました。昨年は金賞と、その次の特別優秀賞合わせて、飯山市の生産者の方が日本で一番多かったんですよ。最終審査に残った40人のうち、7~8名が飯山市の生産者でした。

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このコンクールで思ったのは、有り難いことに金賞を頂いて、嬉しい反面、もっと自分の作っている米に対して、自信を持って良いんだなという事です。飯山市の米は美味しいんだよと、胸を張っていきたいです。

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Toshie
「とんがり戸狩」編集長/キュレーター、WEBデザイナー
お酒と温泉をこよなく愛する。大学時代、成り行きで山岳部主将になって以来、体力に自信はないけど山が好き。信越トレイル走破を企む今日この頃。「何事も全力で楽しむ!」が人生のモットー。